会長挨拶

『第89回 日本皮膚科学会東京支部学術大会の開催にあたって』
Keep Moving Forward.: 伝統の襷をつなげる。

第89回日本皮膚科学会東京支部学術大会
会長 須賀 康(順天堂大学医学部附属浦安病院 皮膚科学教室 教授)

この度、第89回日本皮膚科学会東京支部学術大会を、2025年(令和7年)11月15日(土)・16日(日)の両日に亘り、京王プラザホテル(東京都新宿区)にて、順天堂大学浦安病院皮膚科学教室で開催する運びとなりました。本大会の主催の機会を賜りましたことに、関係各位に心より深く御礼申し上げます。

東京支部総会は今年で第89回を迎えますが、順天堂大学が日本皮膚科学会の大きな学会を担当するのは、本学の理事長 小川秀興 先生が第102回日本皮膚科学会総会(浦安市 舞浜)を主催して以来20年ぶり、東京支部総会としては、宮崎寛明 教授が前身となる第30回東日本支部総会を主催して以来、実に59年ぶりのこととなります。

本学会のテーマは「Keep Moving Forward:不断前進する皮膚科学」といたしました。「不断前進」とは順天堂大学の建学の理念に由来し、現状に甘んじることなく、常に高い目標を掲げて挑戦し続ける姿勢を意味しています。医療・医学は絶えず進歩すべきものであり、皮膚科学も21世紀以降、加速度的な発展を遂げてきました。この理念を背景に、本テーマを掲げました。

今回の第89回大会では、これまでの歴史と伝統をいかに活かし、第90回大会へとどのように襷を繋いでいくかを、参加者の皆様とともに考えたいと思います。その象徴として、順天堂大学が駅伝をはじめとする陸上競技で広く知られていることにちなみ、ポスターには箱根駅伝を想起させるデザインを採用いたしました。

プログラムにおいては、学会テーマを反映した多彩な特別講演、シンポジウム、教育講演を企画しております。勤務医、開業医、研究者のすべての先生方にとって、日常診療や研究の一助となる内容を目指しました。特に当教室の強みである 角化症・水疱症、レーザー・美容皮膚科、皮膚外科、皮膚悪性腫瘍、真菌症 をはじめ、環境医学研究所(所長:髙森建二 名誉教授)の大学院生が研究テーマとして取り組むカユミ研究など、幅広い領域にバランスの取れた構成を心がけております。

さらに海外特別講演としては、私の専門分野である遺伝性角化症において世界的権威である、米国ノースウエスタン大学のAmy Paller教授 をお招きいたしました。Paller教授には、遺伝性角化症を「表皮分化疾患」として捉え、原因遺伝子と表現型という二つの要素を基盤に定義する「ダイアディック命名法」を皮膚疾患領域で初めて導入した最新の研究成果をご講演いただきます。

国内の特別講演としては、山田秀和先生による抗加齢医学、山田裕道先生による医史学探訪、田中勝先生によるダーモスコピー、大塚篤司先生による生成AIについてのご講演、そして川島眞先生の美容皮膚科・アンチエイジングへの直言などを予定しており、先を見据えた学びの機会となることでしょう。

さらに、シンポジウムでは、レーザー、真菌、角化症、水疱症、皮膚外科、カユミ、フットケア、国際シンポジウムなど多彩なテーマを盛り込み、ハンズオンセミナーとしてもレーザー、皮膚外科、病理、真菌、リーダーシップとウェルビーイングといった幅広い分野を用意いたします。

“胸躍る未来”に向けて着実に歩みを進める大会となるよう、教室員および学会事務局一同、鋭意努力して参りますので、皆様のご参加を心よりお待ち申し上げます。